#01電池(ボルタ電池・ダニエル電池)

電池の基本(復習)

まずは、電池がどのようなものか復習しましょう。

復習1

① 電池とは、「化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置」である。
② 電流は、電池の+極からー極に流れる。
③ 電子は、電池のー極から+極に流れる。

また、電池の作り方について次のことも学んだと思います。

復習2

電池を作るためには
① 2種類の異なる金属
② 電解質の水溶液(電解液)
が必要である。

中学の内容を思い出したところで、高校の内容に入りましょう。

電池の原理(高校)

上の復習1にあるように、「電池は化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置」ですが、高校では「酸化還元反応で生じる電子eを電気エネルギーとして取り出す装置」とより詳しく学びます。

この酸化還元反応ですが、復習2の①にある2種類の金属で起こります。
では、正極(+極)負極(ー極)のどちらで酸化・還元が起こるのでしょうか?

酸化が起こる電極

これは、復習1の③にあるように、電子が負極から正極に流れることがポイントです。
電子が負極から出るということは、負極では酸化反応が起こるということです。
酸化反応が起こるのはイオン化傾向が大きい金属でした。

イオン化傾向が大きい金属をXとすると、
例: X → X+ + ze
この反応を見ればわかるように、電子が放出され、金属Xは酸化されて陽イオンになって溶け出します。これが負極の反応です。
また、このように各極で反応する物質を活物質といいます。

負極
Point

負極(ー極)は、
⇒電子が放出され、酸化反応が起こる。
⇒イオン化傾向が大きい金属がなりやすい。
⇒極板が溶け出して陽イオンになる。

還元が起こる電極

負極で酸化が起こりましたので、正極で還元が起こります。
正極では極板が還元されやすければ還元されますが、そうでなければ極板は反応せず極板の周りに集まってきた陽イオンが還元されます。極板が単体の金属の場合は還元されません、溶液にどんな陽イオンが存在するかを確認しましょう。

例えば、Zという陽イオンが存在する場合、
例:Z+ + e → Z
このように、正極では電子を受け取り、還元されます。

Point

正極(+極)は、
⇒電子を受け取り、還元反応が起こる。
⇒イオン化傾向が小さい金属がなりやすい。

まとめ

<電池の基本>
①電極の決め方
負極は酸化されやすい方(イオン化傾向が大き方)。
負極
→酸化反応が起こり、陽イオンになり溶け出す。
正極
→還元反応が起こり、陽イオンが反応する。

ボルタ電池

ボルタ電池は、近年教科書で扱わなくなってきています。理由としては、シンプルに見えて実は複雑な反応が起こっていることや、すぐに電圧が低下してしまうことがあります。
今回は、ボルタ電池を電池の基本を知るための例として、簡素化して説明します。

ボルタ電池とは

ボルタ電池

図のように、電極が亜鉛Znと銅Cu、電解液が希硫酸でできています。

①電極の決め方

ボルタ電池2

…Pointにもあるように、電池の負極はイオン化傾向が大きい金属がなります。
今回のイオン化傾向は、Zn > Cu
よって、負極:Zn,正極:Cuとなります。

②負極の反応

ボルタ電池負極

酸化反応が起こり電子を放出します。
負極:Zn → Zn2+ + 2e

③正極の反応

ボルタ電池正極

還元反応が起こり電子を受け取ります。
正極自体が単体の金属で還元しにくいので、水溶液中の陽イオンが正極に寄ってきて還元されます。今回、水溶液中(希硫酸)にある陽イオンは水素イオンなので、
正極:2H+ + 2e → H2

④ボルタ電池のまとめ

まとめ
ボルタ電池まとめ

<ボルタ電池>


負極:Zn → Zn2+ + 2e
正極:2H+ + 2e → H2

+α『分極』

③で生じた水素が正極に小さな気泡となって付着し、次の反応が起こりにくくなります。これによって起電力が低下することを分極といいます。

ダニエル電池

次に、ボルタ電池の欠点を解消し作られたダニエル電池について説明します。

ダニエル電池とは

図のように、電極が亜鉛Znと銅Cu、電解液が2種類の溶液でできています。
この電池の特徴は、この電解液が2種類という点です(CuSO4水溶液とZnSO4水溶液)。
電解液を分けるために、素焼き板を使用しています。この素焼き板は、小さな孔があいていてイオンが通過できます

①電極の決め方

ダニエル電池

Pointにもあるように、電池の負極はイオン化傾向が大きい金属がなります。
今回のイオン化傾向は、Zn > Cu
よって、負極:Zn,正極:Cuとなります。ここはボルタ電池と同じ。

②負極の反応

ダニエル電池負極

…酸化反応が起こり電子を放出します。
負極:Zn → Zn2+ + 2e
ここもボルタ電池と同じです。

③正極の反応

ダニエル電池正極

…還元反応が起こり電子を受け取ります。
正極自体が単体の金属で還元しにくいので、水溶液中の陽イオンが正極に寄ってきて還元されます。今回、水溶液中(硫酸銅水溶液)にある陽イオンは銅イオンなので、
正極:Cu2+ + 2e → Cu

④素焼き板の役割

ダニエル電池素焼き板

…なぜ素焼き板を使うのかを考えましょう。前述したように素焼き板にはイオンが通過できる小さな孔があります。今の所、この孔が活躍してませんね。これでは、素焼き板の必要がありません。ガラス板でも溶液は区切れます。
負極
では、負極側について考えましょう。②で説明したように負極ではZn2+が溶け出しています。この反応が続くと、溶液にZn2+が溢れてしまい、溶液が+の電荷に偏ってしまいます。なので、過剰にZn2+が素焼き板を通過して正極側に移動します。
正極
正極側ではどうでしょう。こちらでは、Cu2+が還元されて減っていきます。これによりセットで電離していたSO42ーが余ってしまい、こちらは溶液がーの電荷に偏ってしまします。なので、余ったSO42ーが素焼き板を通過して、負極側に移動します。

⑤ボルタ電池のまとめ

まとめ
ダニエル電池素焼き板

< ダニエル電池>


負極:Zn → Zn2+ + 2e
正極:Cu2+ + 2e → Cu

☆素焼き板をZn2+とSO42ーが通過する。

+α【ボルタ電池を長持ちさせるために】

ボルタ電池をより長く利用するには以下のことが必要です。

  • 負極の亜鉛板を大きく
  • 負極の硫酸亜鉛水溶液の濃度を薄く
  • 正極の硫酸銅水溶液の濃度を濃く

電池の歴史(オマケ)

電池の原理を発見したのは、イタリアのガルバーニです。
ガルバーには「鉄の柵にぶら下げたカエルの足に針金を触れさせると、足がピクピクと痙攣する」ということに気付きました。
この実験をもとに、イタリアのボルタが1800年に発明した電池をボルタ電池と言います。
しかし、ボルタ電池はすぐに電圧が低下してしまう欠点(分極)がありました。
このボルタ電池を改良したのがダニエルのダニエル電池です。
また、その後登場する鉛蓄電池ですが、今でも車のバッテリーとして利用しています。
現在は電解液を用いた電池が使われていますが、近年電解液を使用しない全固体電池についての研究が盛んになっており、実用化もされ始めています。

電池の歴史
  • 1780年
    電池の原理を発見(ガルバーニ)

    カエルを使った実験で発見

  • 1800年
    ボルタ電池を発明(ボルタ)

    世界初の電池

  • 1836年
    ダニエル電池を発明(ダニエル)

    ボルタ電池の改良版

  • 1859年
    鉛畜電池を発明(ガストン・プランテ)

    世界初の充電可能な電池

  • 1885年
    乾電池を発明(屋井先蔵)

    世界初の乾電池はメイドインJAPAN

  • 1899年
    ニッケル・カドミウム電池を発明(ユングナー)

    いわゆるニカド電池

  • 1991年
    リチウムイオン電池(SONY)

    現在もっとも主流な電池

  • 20??年
    全固体電池

    電解液のない電池