#02鉛蓄電池

電池の基本については前回の投稿を見てください。

鉛畜電池

鉛蓄電池は「鉛」「蓄電池」です。つまり、鉛を用いた蓄電池ということです。
蓄電池とは、充電することによって繰り返し利用することができる電池をさします。
この鉛蓄電池は、現在でも自動車用のバッテリーとして利用されています。
今回は、鉛蓄電池の仕組みについて説明します。

鉛畜電池とは

図のように、電極が鉛Pbと酸化鉛(Ⅳ)PbO2、電解液が希硫酸でできています。

鉛蓄電池

①電極の決め方

…電池の負極はイオン化傾向が大きい金属がなります。しかし、今回の電極はPbとPbO2。どちらが、イオン化傾向が大きいか判断できないと思います。
ここで、再び負極でどのような反応が起こるか思い出してください。負極とは酸化反応が起こる電極。つまり、より酸化されやすいほうが負極になります。では、PbとPbO2のどちらが酸化されやすいでしょうか?PbO2は既に酸化されています。つまり、これから酸化されるのはPbとなります。よってPbが負極です。

鉛蓄電池1

②負極の反応

酸化反応が起こり電子を放出します。
負極:Pb → Pb2+ + 2e
しかし、これだけでおわりません。電解液には希硫酸を用いています。希硫酸は電離して、
H2SO4 → 2H+ + SO42ー
この時生じる、SO42ーと先ほどのPb2+が反応すると、PbSO4の塩を生じます(SO42ーはAg+,Pb2+,Hg+と難容性の塩を作ります)。よって、負極の反応は以下のようになります。
負極:Pb + SO42ー → PbSO4 + 2e

鉛蓄電池負極

③正極の反応

…正極では還元反応が起こります。
正極:PbO2 + 4H++ 2e→ Pb2+ + 2H2O
しかし、こちらもこれだけでおわりません。先ほど同様にSO42ーとPb2+が反応しPbSO4の塩を生じます。
よって、正極の反応は以下のようになります。
正極:PbO2 + 4H++ SO42ー + 2e→ PbSO4 + 2H2O

鉛蓄電池正極

④鉛畜電池のまとめ

②・③で説明した放電では、以下の反応でした。
負極:Pb + SO42ー → PbSO4 + 2e
正極:PbO2 + 4H++ SO42ー + 2e→ PbSO4 + 2H2O

この反応をまとめて、電池全体でどのような反応が起きているか考えると、
Pb + PbO2 + 2H2SO4 → 2PbSO4 + 2H2O
このとき電子が2e流れます。

⑤鉛畜電池の充電

②・③で説明した放電では、以下の反応でした。
負極:Pb + SO42ー → PbSO4 + 2e
正極:PbO2 + 4H++ SO42ー + 2e→ PbSO4 + 2H2O

この鉛蓄電池の負極に電源装置の負極を、鉛蓄電池の正極に電源装置の正極を接続し、電流を流すことによって『充電』を行うことができます。
充電の反応は以下の通りです。
負極:PbSO4 + 2e → Pb + SO42ー
正極:PbSO4 + 2H2O→ PbO2 + 4H++ SO42ー + 2e

電池全体では、
2PbSO4 + 2H2O → Pb + PbO2 + 2H2SO4
となり、元に戻るため再び放電ができるようになります。
このように、充電ができる電池を二次電池といいます。

演習問題

問1:負極・正極の質量

1molの電子が放電で流れた際に、負極・正極の質量はどのくらい変化するか。

<答え>
負極:48gの増加
正極:32gの増加

<解説>
まず、負極は次の反応です。
 Pb + SO42ー → PbSO4 + 2e
負極では、Pb が PbSO4 になります。
このとき、単純に考えると1mol の Pb に1molの SO4 がくっついたということなので、1molのSO4 のぶんだけ質量が増加します。質量でいうと96gです。この時電子が2mol流れています。
よって、電子が1mol流れる時は96÷2=48gの増加となります。

次に、正極は次の反応です。
 PbO2 + 4H++ SO42ー + 2e→ PbSO4 + 2H2O
正極では、PbO2 が PbSO4 になります。
このとき、単純に考えると1mol の PbO2 に1molの SO2がくっついたということなので、1molのSO2のぶんだけ質量が増加します。質量でいうと64gです。この時やはり電子が2mol流れています。
よって、電子が1mol流れる時は64÷2=32gの増加となります。

問2:電解液の濃度の変化

1molの電子が放電で流れた際に、電解液の濃度は増加するか、低下するか。

<答え>
濃度は低下する
<解説>
この問題を解く際に考えるのは、電池全体としてどのような反応が起きているか考えましょう。
 Pb + PbO2 + 2H2SO4 → 2PbSO4 + 2H2O (2eの移動)
電池全体ではこのような反応が起こります。
電解液は希硫酸なので、電解液の濃度に関わる物質はH2SO4H2Oです。

まずはH2SO4についてですが、こちらは反応物として消費されます。
よって、1molの電子が流れるときには、H2SO4が1mol消費されます。
つまり、質量にすると1 × 98 = 98gです。
H2SO4は溶質なので、溶質の質量が98g減少します。

つづいて、H2Oについてですが、こちらは生成物として生産されます。
よって、1molの電子が流れるときには、H2Oが1mol生産されます。
つまり、質量にすると1 × 18 = 18gです。
H2Oは溶媒なので、溶媒の質量が18g増加します。
以上より、溶質が減少して溶媒が増加するため、電解液の濃度は低下します。