#04半反応式とは

説明

半反応式とは

半反応式とは、酸化剤や還元剤のそれぞれのはたらきを電子eを使って表したイオン反応式を指します。
  例: HNO3 + H+ + e → NO2 + H2O

この半反応式を酸化剤と還元剤で1つずつ用意し、1つに合体することで酸化還元反応式を作ることができます。
このページでは、まずは反応式を作れるようになりましょう。
半反応式は次の手順に従って作ろう!

Point

① 酸化剤・還元剤の反応前と反応後を書き出す。
(ここで、OとH以外の元素の数を両辺で合わせる)
例: HNO3 → NO2
② H2Oを加えて酸素原子Oの数を反応の前後で揃える。
例: HNO3 → NO2 + H2O
③ H+を加えて水素原子Hの数を反応の前後で揃える。
例: HNO3 + H+ → NO2 + H2O
④ eを加えて電荷を反応の前後で揃える。
例: HNO3 + H+ + e → NO2 + H2O

半反応式としてよく登場する酸化剤と還元剤の一覧を掲載します。

酸化剤の半反応式一覧

備考物質化学式半反応式
塩素Cl2Cl2 + 2e2Cl
希硝酸HNO3HNO3 +3H+ + 3eNO + 2H2O
濃硝酸HNO3HNO3 +H+ + eNO2 + H2O
熱濃硫酸H2SO4H2SO4 + 2H+ + 2eSO2 + 2H2O
過マンガン酸カリウム(酸性)KMnO4MnO4 + 8H+ 5eMn2+ + 4H2O
過マンガン酸カリウム(中性・塩基性)KMnO4MnO4 + 2H2O + 3eMnO2 + 4OH
二クロム酸カリウム(酸性)K2Cr2O7Cr2O72ー + 14H+ + 6e2Cr3+ + 7H2O
過酸化水素(酸性)H2O2H2O2 + 2H+ + 2e2H2O
過酸化水素(中性・塩基性)H2O2H2O2 + 2e2OH
二酸化硫黄SO2SO2 + 4H+ + 4eS + 2H2O

還元剤の半反応式一覧

備考物質化学式半反応式
マグネシウムMgMgMg2+ + 2e
CuCuCu2+ + 2e
AgAgAg+ + e
水素H2H22H+ +2e
硫化水素H2SH2SS + 2H+ + 2e
シュウ酸(COOH)2(COOH)22CO2 + 2H+ + 2e
ヨウ化カリウムKI2II2 + 2e
硫酸鉄(Ⅱ)FeSO4Fe2+Fe3+ + e
塩化スズSnCl2Sn2+Sn4+ + 2e
チオ硫酸ナトリウムNa2S2O32S2O32ーS4O62ー + 2e
過酸化水素H2O2H2O2O2 + 2H+ + 2e
二酸化硫黄SO2SO2 + 2H2O→ SO42ー + 4H+ + 2e
Point
  • 表中の黄色で塗られたところは、酸化剤と還元剤の反応前と反応後の形なので、入試までには覚えましょう。定期テストで覚える必要があるかどうかは、学校によって様々ですので、先生に確認してください。
  • 難関大学入試用に中性と塩基性の場合(※)も加えましたが、基本的には気にしなくていいです。
  • ☆がついている物質は酸化剤にも還元剤にもなります。

酸化剤・還元剤は上記のように基本的に決まっています。なので、上記のメンツを覚えてしまえば、「化学反応式にある酸化剤や還元剤を答えなさい」系の問題を酸化数の増減を調べずに解くことができます。

演習問題1

ハロゲンの例として塩素Cl2、単体の金属の例としてナトリウムNaとマグネシウムMgを記載しました。

各問の( )に当てはまる語句を答えなさい。

  1. Cl2 +( )→ 2Cl
  2. Fe2+ → Fe3+ +( )
  3. H2SO4 +( )+( )→ SO2 + ( )
  4. H2O2 + ( ) +( )→ 2H2O
  5. H2S → S +( ) +( )
  6. HNO3 + ( ) + ( ) → NO + ( )
  7. HNO3 + ( ) + ( ) → NO2 + ( )
  8. SO2 + ( ) → SO42- + ( ) + ( )
  9. MnO4 + ( ) + ( ) → Mn2+ + ( )
  10. Cr2O72- + ( ) + ( ) → 2Cr3+ + ( )
  1. Cl2 + 2e → 2Cl
  2. Fe2+ → Fe3+ + e
  3. H2SO4 + 2H+ + 2e → SO2 + 2H2O
  4. H2O2 + 2H+ + 2e → 2H2O
  5. H2S → S + 2H+ +2e
  6. HNO3 + 3H+ + 3e → NO + 2H2O
  7. HNO3 + H+ + e → NO2 + H2O
  8. SO2 + 2H2O → SO42- + 4H+ + 2e
  9. MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ + 4H2O
  10. Cr2O72- + 14H+ + 6e→ 2Cr3+ + 7H2O

演習問題2

次の各反応をeを用いたイオン反応式で答えなさい。

  1. 塩素 Cl2 が酸化剤としてはたらき、Clになる。
  2. 二酸化硫黄 SO2 が酸化剤としてはたらき、Sになる。
  3. 熱濃硫酸 H2SO4 が酸化剤としてはたらき、SO2になる。
  4. 過酸化水素 H2O2 が酸性の水溶液中で酸化剤としてはたらき、H2Oになる。
  5. 硫化水素 H2S が還元剤としてはたらき、Sとなる。
  6. 希硝酸 HNO3 が酸化剤としてはたらき、NOになる。
  7. 濃硝酸 HNO3 が酸化剤としてはたらき、NO2になる。
  8. ヨウ化カリウム KI が還元剤としてはたらき、Iとなる。
  9. 過マンガン酸カリウム KMnO4 が酸性の水溶液中で酸化剤としてはたらき、MnO4がMn2+になる。
  10. 二クロム酸カリウム K2Cr2O7 が酸性の水溶液中で酸化剤としてはたらき、Cr2O72ーがCr3+になる。
  1. Cl2 + 2e → 2Cl
  2. SO2 + 4H+ + 4e → S + 2H2O
  3. H2SO4 + 2H+ + 2e → SO2 + 2H2O
  4. H2O2 + 2H+ + 2e → 2H2O
  5. H2S → S + 2H+ +2e
  6. HNO3 + 3H+ + 3e → NO + 2H2O
  7. HNO3 + H+ + e → NO2 + H2O
  8. 2I → I2 + 2e
  9. MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ + 4H2O
  10. Cr2O72- + 14H+ + 6e→ 2Cr3+ + 7H2O

8〜10
問題文中に書かれたKI、KMnO4、K2Cr2O7のカリウムKが答えの半反応式には書かれていません。これらは溶液中で電離していて、電離したK+が反応後も変わらずK+であるからです。化学反応式では、反応の前後で変化していないものは書いてはいけません。